奈良の木でDIY

「吉野と暮らす会」のメンバーでもある「GREEN FOREST」の田中さんに
DIYに適した木の選び方とマルチボックスの作り方を教えていただきました!

密植でゆっくり成長する吉野スギ

柔らかくて加工しやすく
値段も手頃な吉野スギ

「GREEN FOREST」は、自然木の特徴を生かした、テーブルやキャビネットなど大型の家具を手作りしているお店です。完全オーダーメイドなので、お客様のお手元に届くまで約1~3か月かかるものもあります。素材の買い付けから家具の加工まですべて自社で行っているという田中さんに、DIYに適した木の選び方について教えていただきました。

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「一般的に家具に適しているのはケヤキやクリ、サクラなど傷がつきにくい硬い広葉樹といわれていますが、DIY初心者が硬い木を加工するのは大変です。一般の方がDIYで使うならスギがお勧め。スギは柔らかくて加工しやすく、値段も手頃。太い丸太が手に入るので、節のない材がとりやすい。例えば、本棚のように材をふんだんに使う家具を作る場合は、スギを使うほうが安く仕上げることができます。持ち運びをするものや箱ものを作るなら軽いスギ、精密な細工をする場合にはヒノキがお勧めです。用途やコストに合わせて選ぶといいですね」と田中さんは話します。

吉野材のスギやヒノキは、後々の反りや狂いが少ないのが特徴。手に入れやすく、低価格なスギは、床材や壁材だけでなく、建具やドアにも使われることが多くなっているそうです。個人でも注文できる材木屋さんで木を調達するなら、何を作るか伝えてプロに選んでもらうのがお勧めです。

 マルチボックスを
  作ってみよう

スギやヒノキなどの針葉樹は柔らかくて扱いやすいので、初心者DIYにぴったりな素材。テレビボードやエアコンカバーを作る場合、スギ板に細い部材を組み合わせて格子にするとリモコンが使えます。

材料
樹齢200年の柾目のスギ板(底板1枚、板2枚、角材6×2本)
かなづち、さしがね、やすり(サンドペーパー)、真鍮の釘、木工ボンド

奈良の木でDIY

1.板をカットする

ポイント
・ホームセンターで板をカットしてもらってもOK。
・電動丸のこがあれば、簡単にカットできる。
・年輪が山のカタチになっているなら、山が上になるほうに木の向き揃えよう。

 

2.釘を打つ場所に印をつける

ポイント
・さしがねを使って、木の厚みの中間に印をつける。
・印は消しゴムで消せる鉛筆でつけよう。

 

3.下穴を空ける

ポイント
・そのまま釘を打つと木が割れてしまうので、電動ドリルかキリで下穴をあける。

 

4.木口面にボンドを塗って強度アップ

ポイント
木からはみ出ない程度にうすく塗る

 

5.木をコの字型に組んで釘を打つ

ポイント
・かなづちの重みで打つのがコツ。
・打つのが大変なので、少し短い釘を選ぼう。

 

6.等間隔に格子用の横板を付ける

ポイント
・等間隔になるよう物差しで測り、付ける場所に印をつける。 ・ボンドを軽くつけてから、手順3で空けた穴に合わせて、釘を打とう。

 

7.取っ手を付ける

ポイント
・2本の板を取り付けると持ちやすい。

 

8.面取り

ポイント
・角を中心にサンドペーパーをかける。
・サンディングはサンドペーパーを木片に巻いて行うのが基本。

 

9.オイルを塗る

ポイント
・吉野の木の良さを生かす、自然塗料を布やスポンジで塗る。もちろん、無塗装でもOK。

完成!

角材を自分でカットすると「格子の板が1mmだけ長くなってしまった」という失敗も。その場合は、作品に傷がつかないように、細かい歯ののこぎりを使って修正しましょう。また、きちんと長さを測って、格子の幅を等間隔にすると美しい仕上がりに。その一手間が作品の完成度の差につながります。

 DIYのポイント

●木の選び方
  プレナー仕上げの板を使うのがお勧めです。
  ※プレナー仕上げとは、表面がざらついた木材を、自動カンナという機械に通して、表面を平らに整えた状態のこと

●のこぎりの使い方
  木を切るときは、のこぎりを「前下がり」「後ろ下がり」「まっすぐ」の順に使うのがポイント。
  切るものに応じて、歯の細かさを使い分けると、きれいに切ることができます。

●釘の選び方
  真鍮釘を使うとお洒落な雰囲気に。アンティーク家具ではマイナスビスも人気です。

●釘の打ち方
  最初はかなづちの平らなほうを使い、最後は膨らんだほうで釘の頭を沈めます。
  釘が曲がっても途中で戻せば大丈夫!

●作業効率をアップするには
  印を付ける、釘を打つなど、同じ作業をまとめて行うのがポイントです。

GREEN FOREST 代表取締役 田中寿賢さん

GREEN FOREST(有限会社グリーンフォレストエンタープライズ)
奈良県吉野郡吉野町色生576
TEL:0746-35-9000

プロフィール

GREEN FOREST 代表取締役
田中寿賢さん

1977年生まれ。林業を営む家で木に触れて育ち、大学院在籍中にある木工家の元で木工の基礎を習得。吉野で家業を一新し、無垢板加工販売を開始。現在は、一枚板や無垢材を使ったオーダーメイドの家具の製作・販売を行っている。吉野の山奥でありながら広さ100坪の無垢板専門ショールームも併設、ホームページ掲載商品はすべて見ることが可能。同社が協力する、生徒が使う机を自分で作る、吉野中学校の「愛・学習机プロジェクト」は7回目を数える。

愛・学習机プロジェクト

愛・学習机プロジェクトとは

田中さんもメンバーの一員である「吉野と暮らす会」 が中心となり、2年半の歳月をかけて作り上げた奈良の木の学習机。地元の吉野中学校の新しい学習机として誕生。ヒノキの天板と脚が分離できる仕組みになっており、生徒本人が組み立てる。中学校生活の3年間を共に過ごす机で、生徒一人ひとり、卒業のときに持ち帰ることができる。地域や社会との繋がりを実感できるものとして生まれたプロジェクト。