森林豊かな奈良県は、県の面積の約77%を森林が占めており、川上村や黒滝村、東吉野村といった吉野地域では林業が盛んで、今も良質な木材が育てられています。
奈良の木は、建材として優れた特徴があるため、保育園や学校、市役所といった公共施設や公園や広場、店舗、オフィスなどに幅広く使用されています。
なぜなら、高い断熱性能・衝撃吸収力があり、室内湿度を自動調整したり、不快な雑音を吸収して心地よい空間をつくったり、ウイルスを不活化したりと、多くの人々が行き交う場所に使用するメリットがたくさんあるからです。
また、人の手で適切に育てられた森林の木を使うことは、自然を守り、地域を守ることにつながります。“持続可能な社会づくり”である SDGsや脱炭素社会の観点からも、奈良の木の役割は重要と言えるでしょう。
わたしたちのまちを豊かにしてくれる奈良の木。ぜひ、住まいだけでなく、身近な施設でも利用していきませんか。
▼まちにある「奈良の木」の空間
▼「奈良の木」は心地よい空間づくりに適した素材
▼「奈良の木」によって実現するSDGsの達成と脱炭素社会
▼奈良の木の家づくりに興味のある方へ
奈良県コンベンションセンター(天平広場)
天平文化の色彩を新たなイメージで表現。高さ約13メートルの天井に奈良の木を使用しています。格子状になった木の大屋根は、迫力満点!まちにある「奈良の木」の空間
民間施設
大和ハウスグループ みらい価値共創センター
「コトクリエ」
店舗
奈良まほろば館2階「TOKi」
飲食店のカウンターにも。和食も洋食もジャンルを問わず、シックで高級感のある雰囲気をつくります。β本町橋(ベータ本町橋)
木の香りと色合いが落ち着いた雰囲気をつくります。木の温もりに包まれた空間が、部屋やお店の優しい顔に。学校
十津川第二小学校(多目的棟)
近年、子どもの心身の健康という観点から木造校舎の良さが見直されています。また、災害時用に薪ストーブを設置しています。吉野さくら学園(2F南階段前)
床や壁、腰板、天井などに吉野スギやヒノキを使った木のぬくもりに包まれる学び舎です。公共既設
奈良県庁(玄関)
奈良県庁でも奈良の木が使用されています。壁や天井に張り巡らせることで、重厚感を出すことができます。奈良県コンベンションセンター
(コンベンションホール)
利用者同士の交流の場や子どもたちの遊び場にも。五感にはたらきかける木のぬくもりは子どもたちの豊かな感性を育み、親にとってもリラックスできる空間に。
五條市シダーアリーナ
(メインアリーナ)
五條市シダーアリーナ
(メインエントランスホール)
「奈良の木」は心地よい空間づくりに適した素材
❶高い断熱性能・衝撃吸収力
〜足を冷やさず、けがも防止〜
スギの場合、熱伝導率はコンクリートの1/13、鉄の1/650。極めて熱伝導率が小さい、つまり断熱性に優れています。スギ材は空隙体積が全体のほぼ80%で、木材の中でも断熱性能が非常に高い素材です。また、木の内部の空隙は優れた衝撃吸収力を生み出す要因でもあります。パイプ状の細胞が柔軟に変形して、クッションのような役目をするため、例えば、大理石に比べて2〜3倍の衝撃吸収能力があります。
❷音をまろやかに
〜心地よい超高周波を通し、不快な雑音を吸収〜
木は音を適度に吸収してまろやかに響かせ、人が心地よく感じる範囲に調整するという特性があります。大理石やコンクリートは、音をほとんど吸収せずはね返すため、雑音が残り、耳障りに感じられることがあります。しかし、木材には低音・中音・高音をバランスよく吸収する働きがあるので、室内に木材を使用した場合、不快な雑音が吸収されて音がまろやかになります。また、木を使った建物は音がいつまでも響かず、適度に反射するので、音が聞き取りやすいとも言われています。優れた音響効果が求められる音楽ホールの内装などに木が使われるのも、このような木の特性があるからです。
❸木の香りでα波が増加
〜気持ちが安定し落ち着く〜
木の香りのもとでラットを睡眠させると、気持ちよく寝ているときに現れる脳のα波が20〜30%増加することが報告されています。ストレスによる精神的発汗が抑えられ、脈拍が安定するためだと考えられています。木の香りに包まれたら精神が落ち着くと実感された方も多いのではないでしょうか。
十津川第二小学校(教室)
❹ウイルスを不活化
〜木造校舎ではインフルエンザによる学級閉鎖が少ない〜
新しく建築された公立学校施設に占める木造施設の割合は、年々増加傾向です。幼稚園から高校までの全国の公立学校の校舎などの施設のうち、約1割程度が木造施設になっています。鉄筋コンクリート造の校舎に比べ、木造校舎ではインフルエンザによる学級閉鎖率が低いということも調査で明らかになっています。